eスポーツが注目される中、「ゲーム障害」という心の病気にも注目してほしい 放置すれば危険な脳のはなし

健康

こんにちは、矢印タカシです。

スマホの普及とともにゲームをする環境は大きく変わってきました。 その昔はリビングのテレビにファミコンをつないでいたものが、今では手のひらサイズのスマホで簡単にできます。そんな中で若者のゲーム依存は深刻度を増していて、世界保健機関(WHO)は世界的な新たな病気として「ゲーム障害」を疾病分類に加えることになりました。 eスポーツが注目される陰で深刻化するネット時代の疾病についてのお話です。

ゲーム障害とは

ゲームのことが頭から離れず、他のことに関心が薄くなり生活が乱れ、家族や友人など人間関係も壊してしまう依存症のことです。

インターネットにハマってしまう「ネット依存」のうち、9割はゲーム障害ともいわれています。

正確な数字は分かっていませんが、2017年に厚生労働省が調べたところ、ネット依存は推定421万人で中高生に限ると推定93万人がネット依存という結果がでました。

また、男女比では8:1と男性の割合が高いのも特徴です。

社会的に大きな問題になってきているゲーム障害ですが、健康や社会生活なのへの影響が大きいことが特徴で、具体的には授業の欠席・遅刻、暴言や暴力、昼夜逆転生活、引きこもりなどがあげられます。

また、自然治癒が難しいのも特徴で、まわりがいち早く気づき本人に治療させることが大切になってきます。

ゲーム障害の具体的な症状とは

ゲームが生活の中心になる

・昼夜逆転

夜遅くまでゲームにのめり込むことで朝起きられなくなる。 睡眠不足から心と体に変調をきたす。

・ゲームに課金しすぎてしまう

「ガチャ課金」というものがエスカレートして本人でもコントロールできないほど借金を重ねてしまう。

・食生活の乱れ

朝昼晩の定期的な食事リズムが乱れ、ゲームが一段落したころにお菓子やインスタント食品で手早く済ましてしまう傾向にある。 栄養が偏ってくれば精神的にもおかしくなりはじめる。

・運動不足による筋力・骨量の低下

ゲーム中心の生活のため薄暗い部屋で日光に当たることもなく筋力・骨量とも減っていく。 10代でも骨粗しょう症の診断を受ける場合も。

・引きこもりで不登校・出社拒否に

引きこもりによって人生が大きく変わってしまう原因になる。

・イライラや攻撃的な言動が目立つようになる

食事や睡眠などの影響もありキレやすい性格になる。 家族の注意がきっかけで暴言を吐いたり暴力的になったりする。

・ゲーム以外に反応しなくなり無感動・無表情になる

ゲーム以外に関心を示さなくなり、廃人のようになってしまう。

こころのブレーキが利かなくなる

誰でも一度はゲームをしたことがあると思いますが、時間や回数を自分で制限できるうちは問題ないですが自分でもやめられない、家族の忠告も無視するようになってくると立派な依存症といえるようになります。

問題が起きる前に「ヤバイな、そろそろやめておこう」と心のブレーキを踏めるかどうかがゲーム障害との境界線になっていきます。

4つの特徴的なパターン

1.ゲームをする時間・回数などをコントロールできなくなる。

2.何か問題がおきてもゲームをやり続けてしまう。

3.ゲームが最優先の生活になり、食事・睡眠などの日常生活が崩れる。

4.ゲーム中心のため家庭・学業・仕事に重大な支障が出る。

医学的にゲーム障害はどんな状態なのか

ゲームへの依存が進むと脳内の「理性」に関する前頭前野のはたらきが低下します。

なので「理性」と「本能」のバランスが大きく崩れてしまい理性的な判断(心のブレーキ)が難しくなっていきます。

前頭前野は脳の中でも最もゆるやかに発達する部位で、20代後半になってやっと落ち着き始めます。

中高生はその前頭前野がまだ発達途中なので「理性」でゲーム依存をコントロールできずゲーム障害になりやすいといわれます。

健康な人の場合、本能や感情をつかさどる「大脳辺緑系」より、理性をつかさどる「前頭前野」が優位に働くことで理性的な判断が可能になっています。

ゲーム障害はこの大脳辺緑系が優位にたつことで理性がきかず本能のままにゲームにのめり込んでしまうわけです。

まとめ

せっかくeスポーツという新たな分野が脚光を浴びるなか、その陰でゲーム障害に苦しむ人を増やすのはよくないですよね。

最近になってやっと「ゲーム障害」ということばが社会にひろまり研究や対策も動き始めてきました。

国もWHOの国際疾病分類に「ゲーム障害」が入ることをうけ、10~29歳までの9千人を対象に、ゲーム障害の実態調査を実施して具体的な対策に乗り出そうとしています。

まず大切なのが「家族もゲームについて知識共有する」ということです。

本人と対話を重ねゲームのメリット・デメリットなどの共通認識をつくり、本人やゲームとのいい関係を築いていくことが大切になります。

また、ゲーム障害の治療は基本的に薬は使わず、カウンセリングが中心になります。 本人に「このままではマズイ」という自覚をうながし、ゲーム以外の活動を増やしていく「認知行動療法」を進めることになります。

まだまだ病気として認知されていないので専門の医療機関が少なく、相談機関も都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターに限られています。

いずれにせよ手遅れになる前に家族が気付き、本人と協力しながら依存症から抜け出すような努力が大切です。

社会生活が出来なくなってしまっては手遅れです。

もしまわりに「ゲーム障害」の疑いがあるかたがいるなら、早めの相談・治療に動き出すことをおすすめします。

貴重な若者の人生を無駄にさせないために周りの注意が必要です。

それでは、また。